The 10th KAC GuitarFreaks部門の最終結果を解説する(後編)

予選解説の後半戦、はっじまっるよ~。

前編未読の方は先にこちらからどうぞ。

前置き

ランキングの解説を始める前に、当記事のポリシーを確認しておこう。

まず一曲ごとのTOP10をまとめた表を提示し、簡単に説明を行った後に、トータルスコアTOP10の面々について詳しく語っていくが、表の中には俺と面識のない方の名前も含まれている。

また、トータルスコアTOP10の方々については、6~10位については俺が知る限りの戦歴のみ掲載し、1~5位の決勝進出者については、過去に出場したKAC本戦の動画などから画像を持ってきながら紹介するつもりだ。

色々な方面にできる限り配慮しつつ、抵触しそうな規約の類には一通り目を通した上で記事を書いてはいるものの、どうしても何らかのクレームが入る可能性はゼロにはできないとは思っている。

まぁランキングに載っている名前は調べようと思えば誰でも調べられることだし、過去のKAC動画も見ようと思えば誰でも見れるし、全員というわけではないがだいたいみんな旧知の仲なので、大事には至らないだろうと踏んではいるのだが。

もし当記事に名前が載っている方の中で、「記事の内容を変更して欲しい」という方がいれば、その都度対応するので何らかの方法で俺に連絡していただきたい。

あと、これは少し迷ったのだが、全て敬称略で記述していくことにするので、ご了承ください。

曲別トップスコアラー

というわけで、はいドーン。これがThe 10th KAC予選、各課題曲ごとの理論値およびTOP10だ。なお同点の部分については、便宜的に「最新update timeが古い方が順位が高い」ということにした。

この生データに、俺が読み取った範囲での解釈を付け足していく。

まず、各曲のアベレージで見ていった時のトップ of トップと言えるプレイヤーは、ぴこ師匠、OROTIGEN.K、ぺこ~らの3名だろう。6曲全てで高い順位に位置し、メイリー2赤Gは揃って理論値だ。

これは難譜面を捌く力とワイリング力の両方において、頂に立つ実力を有する総合力トップのプレイヤーであることを意味している。

続いて、にるなっつ、ぎるたん、たまご。この面々は前述の3名に次ぐ位置に安定して顔を出している。その中で、Nebulas、美麗的夏日風のリザルトによって明暗が分かれ、ネビュラスで2位というトップクラスのスコアを残し、メイリー2では他を圧倒する力を見せたにるなっつが見事1位通過を果たすこととなった。

詳細に表を読み込めばたまごの位置が少し低いようにも見えるが、過去のKAC予選を踏まえた私見を述べると、彼のワイリング力も決して劣っているわけではない。「ネビュラスで既に結果を残し、他の課題曲で脇を固めておきたい」立場か、「ネビュラスをひっくり返さない限り他の課題曲を詰めても意味がない」立場かの違いが最終リザルトに反映されたように思う。

やや異彩を放つのが、MISTER.Qの残した成績だ。曲ごとに順位にブレがあるが、世界の果てに約束の凱歌を、ピンクのボーダーライン、幸せの代償では明確にトップグループに入っており、特に幸せの代償では理論値を取得し、ぴこ師匠を抑えて1位。

彼もまた高い総合力を有しており、他の課題曲でもその気になればもっと高いスコアを叩き出しうると推測される。

雲風亭まっちゃん皆伝についても、似たようなことが言える。ランクインしているのは3曲だが、ネビュラスのファイナルブーストをしっかり成功させて3位、幸せの代償でも3位に入っていることを考えると、確かなワイリング力を備えており要所を押さえてきたという印象がある。

世界の果てに約束の凱歌を、未練タラッタ、ピンクのボーダーラインの3曲で非常に高いスコアを残しているSYOGO.Kと栗坊にも注目だ。このうち特に未練タラッタは猶予0秒の遅延を4回、ピンクのボーダーラインはダブルブースト5回を含む34回のワイリングを含んでおり、高得点を残すためにはひときわ特殊なワイリング技能を要求される。

この2名は課題曲の関係で今よりもワイリングによって勝負の決まる比重が高かったThe 5th KACやThe 6th KACの頃、熾烈なボーダー争いを勝ち抜いていた猛者であり、力の健在っぷりがうかがえる。

最後に、クソガキZとけ~えむえむMMMMの2名に言及しておこう。フルコン者が少なかった曲トップ2であるネビュラスとメイリー2以外の課題曲では彼らの名前は見受けられず、ワイリング力の差によって不利なポジションに立たされている。

しかしながら、最上級のワイリング力をアピールして12位、13位に入った前述の2名や、4曲でランクインし堅実にスコアを集めてきた11位のEVENING.Kを抑え、それぞれ8位と9位にランクインした。

このことから、ギタフリのKAC予選では、「どれだけワイリングを頑張って細かい加点を積み重ねても、格上の難譜面でリザルトを出されてしまうとひっくり返せない」ということがわかる。

6位のぺこ~らがネビュラスのファイナルブースト差により5位の雲風亭まっちゃん皆伝と29万点の差をつけられ、トータル7万点差で敗れていることも象徴的だ。

唯一7位のたまご、8位のクソガキZの部分だけ、ネビュラスのエクセとフルコンの差をトータルでひっくり返しているが、それにしてもトータルスコアの差はわずか15000点。クソガキZが少しワイリングを詰めるだけで簡単に追い落とされてしまう数字であり、もし予選通過枠が7枠であれば順位は入れ替わっていたかもしれない。

「遅延ゲー」「ワイリングゲー」と言われがちなギタフリ部門のKACだが、実際の所は、ワイリング強者は「引き分けに持ち込めば勝ち」という大きなアドバンテージを持って戦いに臨めるものの、明確な勝ち星の差を帳消しにできるわけではないのである。

それにしてもこの各人の残した最終スコア、単純な力量の上下で全てが決まっているわけではなく、各々が立たされたポジションやペース配分、リスク管理などの結果、1曲1曲から血の通った息づかいが聞こえてくるような数字が並んでいるとは思わないだろうか。

残された足跡の中から、それぞれのキャラクターさえ浮かび上がってくるように見える。これはギタフリに限った話ではないと思うので、様々な機種の過去の結果を総ざらいして分析してみるのも面白いかもしれない。ハッこれはもしかしてビジネスチャンスでは

上位十傑紹介

それでは、トータルスコアTOP10の解説に移ろう。

基本的には公開情報であるKAC本戦とスキルについての経歴を併記し、その上で俺の知る限りの功績をつけ加えていく。なお、KACの戦歴についてはラインを設定し、それ以上のものに絞ることにした(煩雑なので詳細は割愛する)。

誤情報が含まれていないとは言い切れないので、本人から何か訂正がある場合には遠慮なく要望を寄せていただきたい。

10位:MISTER.Q

・The 7th KAC 準優勝

・NEX+AGE スキルポイント4位

KAC本戦に進出した回数は少なく露出は控えめではあるものの、確かな実力を備えておりランカーの間では以前から名が知られているプレイヤーだ。

NEX+AGEでの最終スキルは9579.43で、9500台までのプレイヤーの中では最高の数値を誇る。

The 7th KACでは準決勝で前年王者のにるなっつを破り、決勝ではぎるたんとの激闘を繰り広げた。

また、今では営業終了してしまったセレワン春日部店にて2017年2月に開かれたギタフリV8の非公式大会、『トップランカー決定戦2017』では、歴代のランカーが多数参戦し平均スキル1610を記録した(V8のスキル全一は1641)と言われる最高峰の戦いの中、見事に優勝を飾った。

今回の予選ではネビュラスで後塵を拝した結果十傑末席の座に甘んじたが、今後いつ本戦の舞台に舞い戻ってきても不思議ではない、まぎれもないトップランカーの一人だ。

9位:け~えむえむMMMM

・The 9th KAC 東エリア4位

・スキルポイント8年連続1位

ある意味ギタフリ界で一番ヤバい男が9位の座についた。

KAC本戦とは無縁ではあるが、スキルポイントというピラミッドの頂点に8年間君臨し続ける最強のプレイヤーだ。NEX+AGEの最終スキルは9623.95。

例えるならば、K2に登頂する気がないエベレスト最多登頂記録保持者といったところか。

凄まじいスパラン力を備え、カイザーやストパー程度ならフルコンはお手のもの。NEX+AGEではガイア赤Gスパランエクセを叩き出し、歴史にまた一つ新たな名を刻んだ。

新作のHIGH-VOLTAGEでも華麗にスタートダッシュを決め、稼働3日目で金ネームがまだ1人もいないのに一人だけ虹ネームに到達している。

呼吸をするように最高難度の譜面をフルコンできる彼だが、ワイリングやスコアを競うことに対して興味が薄く、ギタコンをトリッキーに扱う技術には明るくない。

しかしながら、本人は「KACに出られないのは別に構わない」という意味のことを公言しており、周囲もまた、「KACには出てこない最強の一角」として彼を認めている。

今後もスキル界の覇者として、そしてスパランの神として、超弩級のリザルトを見せ続けてくれることに期待したい。

8位:クソガキZ

・NEX+AGE スキルポイント12位

今回の十傑の中では唯一素性が確定していないプレイヤーだ。

NEX+AGEの最終スキルは9476.20で、9400台までのプレイヤーの中では最高値。

実は俺はTwitterを眺めている時にこの方のアカウントとネビュラスのリザルト写真を発見し、「あぁ!この人だったのか!」と納得したのだが、

FF外から一回チラ見しただけで今となっては検索しても見つからず、うろ覚えで確かなことが言えない状況なので、ここではこれ以上の言及を避けることにする。

俺の記憶が正しければという前提で、「過去作ではスキルランキング五指に入った経験があり、KAC予選でも何度か上位に顔を出しているあの人かもしれない」という情報に留めておこう。

7位:たまご

・KAC 2012 5位

・KAC 2013 ベスト4

・The 4th KAC ベスト4

・The 8th KAC ベスト4

・The 9th KAC 西エリア3位

・NEX+AGE スキルポイント8位

KACにおいて安定した好成績を残し続けており、また過去にはスキルポイント上位三傑の一角も占めていた強豪が7位にランクイン。

あと少しのポジションまでコマを進めておきながら惜しくも敗れ去ることが多く、今回も決勝ラウンドの枠からは漏れてしまったが、高い実力を有し、多くの挑戦をしているからこその多くの敗北である。

The 8th KAC準決勝ではぴこ師匠に対して2曲の達成率の合計では1%以上上回りながらも、バトルモードの計算式を味方にできず惜敗。The 9th KAC西エリア大会では1st stageを全国トップのスコアで突破しながら、2nd stageで涙を呑んだ。

また、こういうくくり方をするのも時代錯誤のような気はするものの、海外出身者の中では明確にNo.1の実績を残しているプレイヤーだ。

NEX+AGEでの最終スキルは9537.53。頂点を掴み取るためのあと一皮、あと一殻を脱ぎ捨てる時はいつ訪れるか。今後に期待したいところだ。

6位:ぺこ~ら

・KAC 2011 3位

・The 9th KAC 東エリア6位

・NEX+AGE スキルポイント3位

「総合力トップのプレイヤー」の一角に名前が挙がっていながら、随分と素っ気ない戦歴のように見えるかもしれない。

人は彼を「逆ボーダーの神」「悲運の化身」「ギタフリ界最強の敗北者」「氷河期生まれの恐竜」「白ひげの擬人化」と呼ぶ。全部今俺が名づけた。

これは悲哀の化身。

彼がKACにおいて予選落ちしたプレイヤーの中でのトップスコアを記録したのは、今回が実に4回目(なお6年ぶり)。KAC 2011で2枠の全国決勝後半戦に残り損ねたこともカウントすれば、5割の確率で逆ボを引く男。

今回も例年通り枠数が4でありさえすれば逆ボにはなっていないのに、何故5枠の時に6位に滑り込んでしまうのか。何故6曲の課題曲でワイリング10個分のアドバンテージを積み重ねる力を持ちながら、一番肝心なネビュラスのファイナルブーストだけ暴発してしまったのか…

トップ of トップの実力を持つ彼がいかに悲劇的な道のりを歩んできたかについては、続・ギタフリおじさんの長い話①~④を読破すると自ずとわかるので、もしお暇ならそちらもご覧いただきたい。なお合計で57885文字ある模様。

KAC以外の場面でも逆ボや外れくじを引くことに定評があり、NEX+AGEの最終スキルは9601.67と、9600台最弱の座を獲得。

本気でお祓いに行くのを勧めたこともあるが、彼が不運を背負っているおかげでギタフリ界の不幸が今ぐらいで済んでいる可能性すらあると踏んでいる。というのは流石に冗談だが、とにかく彼がこの位置に帰ってきたということもまた、The 10th KACのメモリーの一つとしてしまっておくことにしよう。

なおこんな風に散々ネタにしてはいるものの、俺は彼が報われるのを心待ちにしている。

5位:雲風亭まっちゃん皆伝

・The 9th KAC 優勝

・NEX+AGE スキルポイント2位

ぺこ~らとは対照的に、持っている男。

前回大会より。風貌も心なしか『持っているあの選手』に被るような気がしないでもない?

OverDriveの頃から頭角を現し、Re:EVOLVE以降はスキルポイント五指に入り続け、KAC予選でもたびたび上位に顔を見せながら、8thまでは本戦に縁が無かった。

例年より予選通過の枠が広がり、一発勝負のエリア大会が行われたThe 9th KACにおいて、西エリア1st stageを8位でギリギリ通過。2nd stageで西エリア2位に滑り込み、数字としては進出者中最も低いスコアで決勝大会にコマを進めた。

しかしながら、その実力は折り紙付きだ。NEX+AGEでの最終スキルは9619.33。「スキル差が少しだからといって彼ら(上位2名)と同じことができると思われたらめっちゃ困る」とはぺこ~らの言であり、おそらくこのレベルでの20ポイントの差は月旅行と火星旅行ぐらいの違いがあるはずだ。

雲風亭まっちゃん皆伝こそ、絶対神け~えむえむMMMMと同じ景色を見ることができている唯一のプレイヤーと言っても過言ではないだろう。

前回決勝大会では独壇場に近い戦いぶりを見せ、まずはA.DOGMAでぴこ師匠を一蹴。

レベル9.78の多極性ニューロンの崩壊による人間の末路を決勝一発でフルコンしてみせたのは、歴代KACの中でも群を抜く快挙。

Pluviaの方も1ヶ所切りのSSでまとめた。誰が勝てるねん。

今回は珍しく5枠用意された予選を5位で通過。レベル9台後半の曲をバトルで容易にフルコンしまくるなど腕にはますます磨きがかかっており、決勝ラウンドでも再び暴れ回るだろうと予想される。

初出場のKAC本戦で上記のリザルトを出して優勝しているのだから、メンタルの太さも相当だ。スパランの実力も最上位で、運指、オルタともに死角は無い。若さもあり体力も十分。

一戦のインパクトで歴代最強候補に挙げられることとなった若獅子が連覇を遂げる可能性も十分にあるが、今年の予選通過者は史上最高のメンツが揃っており、結果は全く予想できない。それでは、次のプレイヤーの紹介に移ろう。

4位:ぎるたん

・KAC 2011 5位

・KAC 2012 優勝

・KAC 2013 ベスト8

・The 5th KAC 優勝

・The 7th KAC 優勝

・The 8th KAC 優勝

・The 9th KAC 東エリア3位

・NEX+AGE スキルポイント18位

ギタフリ部門最多、4回のKAC優勝を誇るプレイヤーが4位で予選を通過した。

KAC 2012ではBrown blizzardを500コンボ以上繋ぎ、当時スキルランキング・全曲スキルランキングともに1位の座についていたMORIKUN.を粉砕して初優勝。

The 5th KACではEisenplatteでグレ0ミス2というリザルトを残し、前年・翌年ともに優勝を収めていた最盛期のにるなっつを撃破。

The 7th KACでは決勝のDurianでSSを出して優勝。

The 8th KACでは準決勝のMODEL DD9でSS。決勝ではぴこ師匠を相手に1曲目をエクセされながら自身もグレ1ミス2でついていき、Cinnamonでビハインドをひっくり返して優勝。

いやこいつ毎回毎回サクッと出してるリザルトがエグすぎるんだけど。撮れ高さんのバーゲンセールか。

NEX+AGEの最終スキルは9434.99だが、昔からプレー回数が少ないことで有名であり絶対に本気を出していない。

雲風亭まっちゃん皆伝の強さがそびえ立つ山であるとするならば、ぎるたんは深い暗闇の中に口を開ける海溝のような底知れなさを備えている。特に超高速オルタの強さには一日の長があり、課題曲次第で今年も頂点へ辿りつくシナリオは十分にありうる。

3位:OROTIGEN.K

・KAC 2013 ベスト4

・The 7th KAC ベスト8

・The 8th KAC ベスト4

・The 9th KAC 準優勝

・NEX+AGE スキルポイント5位

たびたびカードネームを変えているが、要するにじじいである。いや悪口ではなくカードネームが。

KAC 2013では1回戦で晴天Bon Voyageをフルコンし、ベスト4までコマを進めるもぴこ師匠に行く手を阻まれる。

The 7th KACではThe Least 100secで90%超え、The 8th KACではblue moonでSSという上級リザルトを残しながら、ともにぎるたんの前に屈する。

The 9th KACの準決勝ではEXCELSIOR DIVEのアウトロまでミス2でたどりつき、背面でのウィニングランを披露。会場を大いに沸かせた。

決勝でもPluvia・ニューロンともに余裕の達成率90%超えでまとめ、優勝していても全くおかしくない好成績を残したが、相手が強すぎた。

このように優勝経験こそないものの、敗れた試合は全てその年のチャンピオンが相手だ。彼もまた、最強の敗者と言えるかもしれない。

年々リザルトのクオリティは確実に上がってきていて、NEX+AGEでの最終スキルは9559.20。正規プレイ主体でこれだけのスキルを積み上げており、武器曲を磨くのも得意でKAC向きのプレースタイルを持つ。入念に作戦を練り、初戴冠を目指して欲しいところだ。

2位:ぴこ師匠

・KAC 2011 優勝

・KAC 2013 優勝

・The 4th KAC ベスト4

・The 6th KAC ベスト4

・The 7th KAC ベスト4

・The 8th KAC 準優勝

・The 9th KAC ベスト4

・NEX+AGE スキルポイント6位

たぶん彼が一番有名だと思います。

記念すべき初代XGの最終スキルランキング1位獲得者であり、KAC初代チャンピオン。5ボタンに進化したGuitarFreaksの黎明期から道を切り開き続けてきたパイオニアだ。

まだどこかあどけなさの残るこちらの画像は、KAC 2011のグランドフィナーレより。

ちなみにこの時、シレッとDrumMania部門でも3位に入賞

2年後のKAC 2013では2回戦でガイアを800コンボ近く繋いでみせるなど、安定した好リザルトの連発でGuitarFreaks部門チャンピオンの座を奪回すると同時に、午後のSOUND VOLTEX部門でも準優勝してみせるという離れ業を披露。

その後も安定してKAC予選を突破し続け、10回中8回の決勝ラウンド進出は全プレイヤー中最多。うち4回(9thのエリア大会をカウントすれば5回)は1位で予選を通過しており、スキル・ワイリング・実績を総合しての現役No.1プレイヤーを挙げるとすれば彼を推したいところだ。

The 8th KACの決勝ではキヤロラ衛星の軌跡でエクセレントを達成。KAC決勝の場でのエクセを成し遂げた唯一のプレイヤーである。

今年の初めからはぴこ師匠の音ゲーばなしというブログを開設し、音ゲーに関する様々な興味深い知見を提供してくれている。毎週土曜日に欠かさず更新を続けており、それだけでも俺のようなテキトーな人間からすると尊敬に値する。

マイクパフォーマンスやイベントの企画・運営などにも長けており、プレイヤーとしての活躍のみならず様々な方面での活動を積み重ねてきた。おそらくギタフリ勢の中で最も音ゲーを盛り上げるために貢献している人物であり、直接お世話になったことのある人も多いだろう。

NEX+AGEでの最終スキルは9555.41。今年はKAC 2013以来となるギタフリ・SDVX両部門での予選突破に成功。常に最先端で戦い続けてきた男は、王座への返り咲きを目指して虎視眈々と牙を研いでいることだろう。本番ではどのような仕上がりを見せてくれるのか、とても楽しみだ。

1位:にるなっつ

・KAC 2013 ベスト16

・The 4th KAC 優勝

・The 5th KAC 準優勝

・The 6th KAC 優勝

・The 7th KAC ベスト4

若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッにるなっつの登場だ――――――――ッ

KAC 2013の本戦1回戦でぴこ師匠に敗れたことをバネにして、溢れる才能が開花。

The 4th KACでは予選・本戦ともに一人だけ未来からやってきたかのような圧倒的実力を発揮し、ゴーイング マイ ウェイ!(レベル9.98)で達成率90%MODEL DD ULTIMATES(レベル9.99)で初見Sランクを取得し優勝。

The 5th KACの予選ではSkyscraper紫Gのフルコンを達成して1位通過しており、これは4年後にけ~えむえむMMMMが2人目のフルコン達成者となるまでの間の単独記録のはずだ。

The 6th KAC予選ではややワイリング重視の課題曲に苦しめられ、最後の1枠をぎるたんと争いながらも競り勝つと、本戦では危なげなく力を発揮して再度の栄冠を掴んだ。

その後はMODEL DD11紫Gでエクセレントを達成。2021年4月27日現在、この譜面のフルコン経験者すら彼一人のはずだ。

ギタフリ界隈ではV時代の頃から、誰かが難曲を人類初フルコンするとすぐに誰かが後に続くという現象が頻発しており、一人しかフルコンがいない曲というのは意外なほど少ない。

そんな中、彼は年単位での単独フルコン記録を複数譜面で保持するという経験を持つ数少ないプレイヤーであり、しかもその功績のほとんどが正規譜面によるものだ。

正規譜面という縛りの中では最も多くの圧倒的リザルトを残してきた人物であると言え、それは今回の予選の結果を見ても如実に伝わってくるだろう。

ベスト4に入ったThe 7th KAC以降はしばらく表舞台から遠ざかっていたため、バチバチの第一線で戦いを続けてきた他の4人と比べると勝負勘が鈍っていないかがやや心配ではあるが、メイリー2をフルコンできている時点でたぶん勘は鈍っていないし、仮に勘が鈍った状態でメイリー2をフルコンしたのだとしたらそれはそれで恐ろしい。

NEX+AGEのスキルポイント上位には名前を確認できなかったが、チャンピオン揃い踏みの本大会で3度目の優勝を掴み取ることができたとしたら、彼がギタフリ界の王であることの証明として十分なものとなるだろう。

総括

と、いうわけで。ここまで長きにわたり過去の大会の記憶も振り返りながら、The 10th KAC予選結果の解説をお届けしてきた。

何だか毎年似たような顔が並んでいるなぁという印象をもしかしたら持たれたかもしれないし、結局実力者が順当に本戦に残っただけじゃないの?というツッコミもあるかもしれない。

しかし、毎年血で血を洗う予選を闘ってきた身として申し上げると、10位まで見渡しても今年のように完璧に近いメンバーが揃うというのは歴史上希有なケースなのである。

参考資料として、The 9th KACまでの歴代KACベスト4と、それに対応する作品のスキルポイントトップ5の面々を可能な限りまとめてみた。

まず第一感として、KACとスキルポイントのトップ層はびっくりするぐらい別々の名前が並んでいることがわかるだろう。

そのこと自体はThe 10th KACの予選通過者とNEX+AGEのスキル上位者を比べてみても傾向は同じなのだが、KAC強者に絞って考えてみた場合でも、やはり歴代王者+前年準優勝者が勢揃いした今回の決勝ラウンドは過去に類を見ない特別なものだ。

最多優勝を誇るぎるたんは逆に、優勝していない年はベスト4に入っていないし、ここ4年間スキルトップ層に安定して食い込んでいる雲風亭まっちゃん皆伝はThe 9th KACになってようやく本戦の出場権を得た。

OROTIGEN.Kとにるなっつは数年間姿の見えない時期があるし、最も安定した力を持つぴこ師匠ですら予選落ちした年もある。

このように結果がブレがちとなる最大の理由はやはり、ここまで解説してきたGuitarFreaksというゲームのスコアシステムや譜面難度の幅の広さ、KACスコアの計算式の都合などレギュレーションの面によるところが大きいだろう。良く言えば奥が深く、悪く言えば理不尽なゲームだと昔から思っている。

まぁKACは上手いプレイヤーがマウントをとるためのイベントなどでは絶対にないのだから、大会の結果が妥当である必要性は特になく、むしろ混沌とした状態の方がお祭りとしては楽しいかもしれない。強い者が勝ち残るのではなく勝ち残った者が強いのであり、俺なんかはとんでもない課題が課されるたびに「いいぞもっとやれ」ぐらいに思っている。

それでも年を追うごとにKAC予選の結果は順当な方向に寄ってきていると個人的には思っていて、おそらくこれは歴史の積み重ねにより、プレイヤーレベルに対する適正な課題曲の選定がだんだん可能になってきているところが大きい。

今年は特にNebulasと美麗的夏日風の2曲で決まるという点がきわめて適度に作用し、ここ10年の総決算と言える豪華なメンバーが揃うこととなった。ボーダーラインもNebulasのファイナルブーストが入ったかどうかというわかりやすいものだったが、この結果は決して簡単に導かれたものではない。

もしもスキルトップ勢の中から、もう一人メイリー2紫Gのフルコン達成者が出ていたら?もし枠数が例年のように4枠だったら?もしぺこ~らのファイナルブーストが暴発せずに、しっかり入っていたら?

この現実とは違う未来へと繋がっていたタラレバのシナリオはいくらでも考えられる。この2曲の譜面が予選の課題として適切だったのも結果論かつ刹那的なことで、たまたま現時点でのプレイヤー達の力量に対してぴったりと数がハマっただけに過ぎない。

今回の予選結果は、さながら惑星直列。いつかこういう事象が起きるのは理のうちではあるものの、次にもう一度起きるのがいつになるかは見当もつかない。

上位陣の高齢化や固定化が叫ばれるギタフリ界だが、単曲単位ではこれまでの常識を塗り替えるようなリザルトを叩き出す若手もチラホラと出てきている。今回のメンツが一堂に会するのを見られるのは、今回が最初で最後になる可能性も十分にあるのだ。

結語

さぁ、チャンピオンズカーニバルの幕開けだ。

5人で行われる決勝ラウンドにどんなルールが適用されるかは全く予想がつかないが、この5人であればどんな課題が課せられたとしても実力伯仲、手に汗握る最高峰の熱い勝負を見せてくれるに違いない。

我々観客としては、『その日』が来るのを楽しみに待ちながら毎日を過ごすばかりである。

…決勝ラウンド、できるんかね?(´・ω・`)

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